ミュージアムで開催されるプログラムに展示室で瞑想をする体験が欧米で増えてきています。この記事では実際にどのようなプログラムが実施されているのかをご紹介したいと思います。
ルービンミュージアムの事例
ルービンミュージアムはアメリカのニューヨークにあるチベット密教を中心としたヒマラヤや、インド亜大陸、中央アジア、ユーラシア内のその他の地域の芸術と文化の収集、展示、保存に特化した博物館です。
こちらのミュージアムにはチベット密教の仏像や曼荼羅等の宗教的要素が強いコレクションを常設しています。
ルービンミュージアムでは毎週木曜日にマインドフルネスを展示室で体験できるプログラムを提供しています。
プログラムの内容は次の通りになっています。
プログラムは45分で一通り体験できるように設計されています。プログラムではマインドフルネスに長けた講師が参加者を瞑想へと導いてくれます。
最初の10分ほどはプログラムの説明、その後、瞑想をする時間を25分、最後に参加者同士が語り合うことができる10分間が1セットになっています。
このような一連のプログラムで参加者はミュージアムで作品を楽しむだけでなく、チベット仏教の深い理解を瞑想体験を通して得ることができるようになっています。
ミュージアムの収蔵品の宗教的特性を活かした特徴的なプログラムになっていると思われます。
ゲッティセンターの事例
もう一つのマインドフルネスを実践しているミュージアムはロサンゼルスにあるゲッティセンターです。
ゲッティセンターのコレクションは「20 世紀以前のヨーロッパの絵画、素描、装飾写本、彫刻、装飾芸術、および 19 世紀と 20 世紀のアメリカとヨーロッパの写真」が含まれています。
こちらのマインドフルネスプログラムの特徴は特定の作品を目の前にして20分間の瞑想とその後にその作品に対する感想の共有を参加者間で行います。また、作品に対する自分の思考、感情、感覚に注意を向けることに集中できるようにナビゲーターがサポートを行っています。
こちらにプログラムの特徴としては恵まれていない環境にある青少年を対象に行っていたりと社会におけるミュージアムの役割を拡張しているところも注目です。
まとめ
どちらのプログラムにも共通して言えることは、これまでのような知識を前提とした作品鑑賞ではなく、鑑賞そのものを充実した体験とするためにマインドフルネスを取り入れている点です。
作品の知識を伝える鑑賞の場合、そこには鑑賞者の知識量の差が出てしまい全ての人が同様の体験をするには限界が出てきてしまいます。
一方、マインドフルネスは誰もが知識量とは関係なく体験できるため誰もが平等に鑑賞体験を拡張して楽しむことができます。日本のミュージアムで実践するためには鑑賞体験とマインドフルネスの両方に精通した人材が成功の鍵を握るのではと考えられます。
アートとマインドフルネスの両方を極めている必要はありませんが鑑賞者がどちらの体験も迷わずに時間を過ごせるようなナビゲーションをうまくできる人材が適材と考えられます。
ぜひ日本のミュージアムでもこのようなプログラムが開催されるようになる事を願います。
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